XRPが市場上昇を牽引──トランプ関税で暗号資産の強気ムードが後退 | CoinDesk JAPAN（コインデスク・ジャパン）

• ビットコインとイーサリアムは、アメリカの現物ETFからの多額の資金流出により価格が急落した後、安定した。
• アメリカの新たな関税とFRBの金利政策が市場のボラティリティを高めたが、機を捉えた買いが台頭している。
• 機関投資家の流動性がボラティリティの緩和に役立っているが、ETFの購入者は依然として慎重な姿勢を維持しており、全体的なセンチメントは不安定なままだ。

暗号資産（仮想通貨）市場は堅調に週のスタートを切った。ビットコイン（BTC）とイーサリアム（ETH）は、現物ETF（上場投資信託）からの資金流出によって数カ月ぶりの大幅な下落となった8月1日と2日の不安定な売りの後、落ち着きを取り戻した。

ビットコインETFは7月31日と8月1日に10億ドル（約1500億円、1ドル=150円換算）近くの資金流出を記録し、価格が11万4000ドル前後まで下落した後、小幅な回復を見せた。イーサリアムも1日に1億5200万ドル（約228億円）の資金流出を記録し、ほぼ1カ月続いた日次流入の記録を破り、上昇に圧力をかけた。

これは、ドナルド・トランプ（Donald Trump）大統領がアジアと欧州全域に新たな関税を課したことで世界市場のムードが冷え込み、リスクの高い投資が打撃を受けた中での出来事だった。

「今回の下落は、トランプ大統領の関税スタンスと、アメリカ連邦準備制度理事会（FRB）が早期利下げに消極的であるというシグナルを示したことへの懸念によって引き起こされた。しかし、アメリカ市場が開く前にすでに機会を伺った買いが始まっており、懸念が行き過ぎている可能性を示唆している」と、暗号資産取引所BTSEのCOO、ジェフ・メイ（Jeff Mei）氏はCoinDeskへのメモで述べた。

この買いパターンは、いくつかのチャートに顕著に表れている。ビットコインはアジア市場の早朝取引で11万4500ドル付近で推移し、イーサリアムは3550ドルを上回っており、どちらも依然として短期的なサポートゾーン内に留まっている。

個人投資家に人気のエックス・アール・ピー（XRP）とドージコイン（DOGE）は、4日の市場の上昇を牽引する形で最大5%上昇した。カルダノ（ADA）、バイナンスコイン（BNB）、ソラナ（SOL）は3%以上上昇した。

機関投資家の厚みもボラティリティを緩和しているようだとの見方もある。

「プロフェッショナルな取引デスクの存在感の高まりは、二次市場の流動性の増加をもたらした」と、シグナルプラス（SignalPlus）のインサイト担当責任者であるオーガスティン・ファン（Augustine Fan）氏は述べている。

「ETF導入以前の時代であれば、この混乱ははるかに厄介なものになっていただろう。第4四半期は、FRBが本格的に介入し始め、関税によるインフレの波及効果が実体経済に現れ始める重要な四半期となるため、9月と年末の忙しい時期を見据えてリスクへのエクスポージャーを縮小する好機だと考えている」とファン氏は付け加えた。

しかし、ETFの買い手は今のところ依然として不在であり、それが全体的なセンチメントを不安定にしている。ビットコインは重要な11万8000ドルのブレイクアウトゾーンを下回っており、イーサリアムはさらなるシステマティックな売りを誘発しないために3500ドルを超える必要がある。

暗号資産以外では、マクロ環境が底堅い状況を生み出している。米国株の先物は、8月1日の弱い雇用統計を受けてFRBの政策方針転換への期待が高まり、0.4%上昇と堅調に推移しました。MSCI ACアジア太平洋指数は序盤の下げを帳消しにし、香港ハイテク株は続落を7日間で止めた。米国債利回りは小幅上昇し、10年債は4.24%となっている。

OPECプラスが一連の増産措置を終えたことを受け、原油価格は下落に転じ、ドルは小幅に下落した。